たとえ叶わない恋でも。
「……っ」
…ずるい。先輩はズルすぎる。
そんなことをされたら、止まらなくなっちゃうよ…。
好きな人にこんなことされて冷静でいられる人っていないと思う。
もしいたら、ぜひとも会って友達になりたいくらいだ。
私は、熱くなってる頰を冷まそうと手を当てて下を向いた。
そこで、ふと思った。
先輩にも好きな人はいるんだろうか…って。
こんなこと聞くのも辛いし、聞くつもりなんてなかったけど。
「センパイは……っ」
口が勝手に動いて、止まらない。
「好きな人、いるんですか…?」
静かな図書室に、私の声が響いた。
こんなこと聞いたところで、答えなんて知れてる。
先輩には確か、好きな人がいるはずだから。
先輩は一瞬、驚いた表情を見せたけどすぐに、
悲しい表情をして
「……いますよ」
と言葉を落とした。