たとえ叶わない恋でも。
「……瑞稀ちゃん?」
ああ、なんでこんな時に会ってしまうんだろう。
「どうした……」
そしてなんで気づいちゃうんだろう。
「センパイ……。私、センパイにずっと嘘をついてた」
嘘っていうのは、先輩のことを好きじゃないって言ったこと。
ずっと前に、速水先輩の前で瑠衣に「速水先輩のこと好きなの?」って聞かれたから、
その時は気づかれたくない一心で、慌てて嘘をついた。
「私……センパイのこと、好きじゃないなんて言ったの嘘です。私は……
ずっと速水センパイのことが好きだったんです」
ずっと前から、好きだったんです。