美男子の部屋に保護されました
2人でクリームたっぷりの甘い飲み物を味わいながら、ゆったりとした時間を過ごす。

「それにしても、その先生も、まず
『読書は楽しい』って伝えれば
よかったのにね。」

宮原さんが、さっきの話に戻す。

「だって、シールで競争させても、
競争意識の高い子って、ろくに内容を
読まないで終わるだろ?
それよりは、おすすめの本を読み聞かせる
方がいいと思う。」

確かに。

「そうですよね。
図書館でも土曜日には読み聞かせをしてるん
です。
毎週、お母さんと来てくれる子もいて、
かわいいんですよ。」

「そうか。
うちの店でもやろうかなぁ。」


のんびりとした時間を過ごした私たちは、次に向けて、その店を後にする。

「次はどこに行くんですか?」

「2人が偶然出会ったフラワーガーデン。」

「あの、誤解されてしまった所ですね!?」

「そうそう。」

主人公が別れ話をするために彼と来た公園で、子連れの男性と会ってしまい、お互いに誤解をして物語が複雑化していく最初の場面。

フラワーガーデンに到着した私たちは、やっぱり宮原さんに手を繋がれて歩く。

「季節的に木蓮は咲いてませんね。」

歩きながら、私が言う。

作中では白い木蓮が咲いていたが、今は、向日葵やケイトウ、サルビアなどが夏の花壇を彩っている。

「そうだな。
じゃあ、来年は4月に来よう。
で、一緒に朧月を見よう。」

来年?
来年も一緒にいられるの?

今、一緒にいられるだけでも夢のように幸せなのに、来年の約束ができるなんて、思ってもみなかった。

「はい。」

私は嬉しくなって、宮原さんの手を、きゅっと握り返した。


私たちは、夏の花をゆっくりと眺めた後、また移動する。

今度は、2人が行った洋食屋さん。

少し遅めの昼食をとる。

メニューには、やはり作中に出てきたオムライスとハンバーグがあった。

私はオムライスを頼み、宮原さんはハンバーグを頼んだ。
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