秘密の同居生活~オレ様副社長の罠にはめられました~
「この屋敷も古くなっているから維持が大変だろう。掃除も大変だろうし…。」

「はい。まぁそんなところです…。」

副社長がつまみをつまむ。

「このつまみおいしいな。なかなかいける。まぁもちろん日本酒もおいしい。」

「ありがとうございます。」

「そんなにまでしてこの屋敷に住みたいのはなぜだ?」

副社長はクイッと日本酒をあけたので、わたしはお猪口にまた日本酒を注いだ。

「それは…わたしの肉親は祖父母だけでしたから…唯一の自分の原点をなくしたくないだけです。
ここがなくなったら自分の心の行き場が…なくなって、さまよってしまう気がして…。
わたしの心のよりどころなんです。この家は…。」

「しかし、このままではいずれ売らなければならなくなるぞ。」

「え?」

思わず副社長を見た。

「今のビルが築何年なのかわからないが、老朽化すれば改修もしないといけないだろうしお金がかかる。
でも今のままだと維持で手一杯で、改修までするお金がないだろう?
この屋敷にしたってそうだ。築40年くらいはいってるだろう?
手入れはかなりされているが、すでに改築や建て直しを検討する時期には入ってるぞ。」

「それは…わかってますけど…。」

副社長の言うことはもっともだ。
わたしも引越をそろそろ考えなければならない…。

言葉につまってしまったわたし…。

それはわかってるけど…
この家を売るのは…
やっぱり…

「助けてやってもいいぞ。」

「え?」
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