先生の全部、俺で埋めてあげる。



「本当に心配したんだから」


先生の目にはうっすらと涙が浮かんでいるように見えた。


「倒れる前に言って、って言ったよね?」


「ごめんなさい」




先生はため息をついて。


「ちょっと学校に連絡してくる」

そう言って病室を出て行った。




俺のことなんて心配しなくていいよ。


どうせ俺の気持ちに応えられないくらいなら、
いっそのこと突き放してくれた方が楽なのかもしれない。


自分から先生にお願いしといて自分勝手だなって思う。




でも。




こんなにも近くにいるのに。


触れられる距離に先生がいるのに。




触れちゃいけないなんて、俺には辛すぎる。



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