先生の全部、俺で埋めてあげる。
先生が教室を出ようとしたタイミングで、廊下から女子生徒の甲高い笑い声が聞こえてきた。
「今出るとまずいんじゃない?」
「…」
俺は先生の腕を強引に引っ張って、廊下から死角になるように先生を隠した。
教室の後ろ、扉のすぐ横。
「ちょっと離してっ…」
「俺と一緒にいるところ、他の生徒に見られてもいいんですか?」
そう言うと先生はおとなしくなった。
俺たちのすぐ横を、女子生徒たちが通り過ぎていく。
俺は先生を隠すように、その狭い空間で先生に密着した。
その距離感にどうしても鼓動が早くなってしまう。
今はこんなにも近くに先生がいるのに。
いなくなるなんて言うなよ…。