先生の全部、俺で埋めてあげる。



生徒が通り過ぎていって、静かになった後も、俺は先生を引き止めるために必死で。


先生が俺から離れていかないように、
先生の腕を握って、自分の胸に押し当てた。


「…なに?」




「先生といると、俺、こんなにドキドキしてます」




静かな教室で。


俺の心臓の音だけが鳴り響いてる。




先生と目が合うと更に加速する音。


そんな俺を見ながら先生は下唇をギュッと噛み締めた。




その顔、前にも見たことがある。


俺は、掴んでいた先生の腕を引っ張って、自分の胸に飛び込んできた先生をギュッと抱きしめた。




「先生に聞きたいことがたくさんあります」



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