先生の全部、俺で埋めてあげる。



触れただけの唇をそっと離すと、先生と目が合う。


何かを求めるような、困っているような、なにも掴み取れない表情なのに。


すごく魅力的に見えた。




「ごめん…もう一回」


俺は堪えきれなくなって、もう一度唇を重ねた。


今度は触れるだけじゃ満足できなくて。


今までずっと我慢してた俺の感情を全てぶつけるように、何度も唇を重ねた。




いいよ。


イヤだったら、あの時みたいに俺の唇を噛んでもらっても全然構わない。




それぐらい一方的なことしてるって思ってる。


でも先生はそれをしなくて。




今までのドキドキが比じゃないくらいに心臓がうるさい。


もう一生こうしていたい。



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