先生の全部、俺で埋めてあげる。



この場所は、俺が小さい頃に1回だけ母親が連れてきてくれた場所。


小さな公園だけど、景色が良くて。


両親が仕事で忙しくて、一人でいるのが寂しいと思った時は、よくこの場所に来ていた。


それをしなくなったのは中学生になった時ぐらいかな。




夜も更けこんできて、より一層寒さが身に染みる。


ふと隣を見ると、ホットココアをカイロ代わりにしている先生が儚くて。


俺は自分の上着を脱いで先生に被せた。


「いいよ、里巳くんが風邪引いちゃう」


「俺は寒くありませんから」


先生の前ではかっこいい自分でありたい。


そう思うのに、くしゃみが出てしまって。


「ほら、ちゃんと着なさい」


って上着が戻ってくる。


先生っていつもそうだ。


自分のことより他人のことを心配する。


いつの時だって。



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