先生の全部、俺で埋めてあげる。



「私たちが初めて会った時のこと覚えてる?」


「覚えてます」


初めて会ったのはあの図書館。


俺は今でも鮮明に覚えているよ。


「あの時、里巳くんが読んでいた本ね、彼が好きな本だったの」


「え…」




そうだったんだ。


先生が好きだって言ってたあの本は先生の恋人が好きだった本で。


教師を目指していたのも彼のためで。


先生は、いつだって亡くなった恋人のために今を生きている。



「あの時ね、久しぶりに読みたくなって図書館に行ったんだけど、置いてなくて。

でも里巳くんが読んでいるの見つけて、なんかびっくりしちゃって。

里巳くんが彼に重なって見えたんだよね、全然似てないのに」



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