先生の全部、俺で埋めてあげる。
こんなゲームずっとやっててもしょうがない。
早く終わらせたかった俺は
相手の頬に手をそっと添えて、思いっきり顔を近づけた。
きゃーと歓声が上がる。
静かになるまでずっと目を見て。
「愛してる」
そう言うと相手の女子は堪えきれなかったように顔を両手で塞いだ。
「里巳くんの勝利!」
そう言われた瞬間に、勝ってしまった自分に後悔した。
あーあ、なんで意地になっちゃったんだろう。
あんまり目立つ事はしたくなかったのに。
終わってすぐに顔を上げれば、先生の姿が目に映って。
俺を見てとびっきりの笑顔で拍手をしていた。
なんなんだよ…。
先生は笑ってるのに。
俺のイライラは募る一方だった。