先生の全部、俺で埋めてあげる。



最初に俺が
「愛してる」って言う。


相手の女子は表情一つ変えないで、さすが決勝にくるだけあるなって思った。


「里巳くん、愛してる」


名前まで入れてきて。


本気で勝ちに来ているような気がして、俺もちょっとだけ負けるのがイヤだなって思った。




「俺も愛してる」


「もう一回」


「愛してる」


「私も愛してる」


「俺も愛してる」




俺が愛してるって言う度に、周りの歓声がいちいち大きくて。


相手の女子が言うと、今度は野郎の声がこだまして。


両者どっちも引かない戦いが続いた。


俺も全然照れないし、相手も無表情を貫いている。



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