先生の全部、俺で埋めてあげる。



しばらく自然の心地よさに身を委ねていると、遠くから足音が聞こえてきた。


顔においていた自分の腕をどかして音のする方を見れば、そこにいたのは加ヶ梨先生だった。


「里巳くん!?」




やばい、サボってるのバレた。




「…びっくりした!!人が倒れてるって思って…生きててよかった…」


先生は寄り添うように俺に近づいてきて、大真面目にそう言った。


真剣な眼差しで俺を見ている。




「ははっ、勝手に殺さないで下さい」


本気で心配そうにしている先生が、なんか可笑しくて。


こらえきれずに笑った。



< 38 / 338 >

この作品をシェア

pagetop