先生の全部、俺で埋めてあげる。
しばらく自然の心地よさに身を委ねていると、遠くから足音が聞こえてきた。
顔においていた自分の腕をどかして音のする方を見れば、そこにいたのは加ヶ梨先生だった。
「里巳くん!?」
やばい、サボってるのバレた。
「…びっくりした!!人が倒れてるって思って…生きててよかった…」
先生は寄り添うように俺に近づいてきて、大真面目にそう言った。
真剣な眼差しで俺を見ている。
「ははっ、勝手に殺さないで下さい」
本気で心配そうにしている先生が、なんか可笑しくて。
こらえきれずに笑った。