先生の全部、俺で埋めてあげる。



俺の住むマンションの前までついて車が止まった。


運転が終わって「ふう」とため息をついている先生。


「家帰ってもご飯しっかり食べて、すぐ横になってね。絶対外出したらダメだからね?!」


先生も無理な運転で疲れてるくせに。


俺の心配ばっかりしちゃって。


なんなんだよ。




「一つ気になってたんですけど」


「ん、なに?」


先生は俺と目線を合わせる。




「先生は、愛してるゲーム、誰に負けたんですか?」


「え?なにそれ」




今聞くようなことではないと思う。


でも今聞かないと絶対もう聞く機会なんてないし。




ずっと気になってたから。



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