先生の全部、俺で埋めてあげる。



「私は、柾木くんに負けちゃったの」




柾木に?




「生徒相手に照れるとか…」


先生としてどうなんですか?と聞きそうになって止めた。


相手が柾木と聞いて尚更そう思った。




「違う違う、柾木くんが里巳くんの名前出すから」


「俺?」


なんで俺が出てくるんだよ。




「柾木くんなんて言ったと思う?」


今度は逆に俺に質問してきて。


「さあ?」


検討も付かない俺。


そんな俺を見て、先生は嬉しそうな顔をしながら口を開いた。




「”夕惺のこと愛してる!”って言ったの」



< 53 / 338 >

この作品をシェア

pagetop