先生の全部、俺で埋めてあげる。



それから俺は、図書館に行かなくなった。


先生に会うと、自分がどうなるのか分からなくて怖かったから。




会ってはいけない気がしたんだ。




それでも心に空いた穴は大きくて、その穴を埋めるかのように毎日誰かと朝から晩まで遊んだ。


俺はみんなと一緒にいるはずなのに、ずっと一人でいるみたいな感覚で。


先生が空けた穴は全然埋まらない。


むしろどんどん大きくなっている。




あれから海香から何度か連絡があったけど、
一度も会っていない。


どうしても先生を重ねてしまうから。




今は先生のことを考えたくなかった。



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