桝田くんは痛みを知らない
 引きつって笑ってみせたあと、


「宗田」


 ヨシヒサくんが、マサオミくんの目を見た。


「俺のこと殴りたいか?」


 …………!


「殴れよ。いくら殴られても、やっぱり痛みは感じねえが。それで少しでもオマエの気が――」

「バカにするな」


 マサオミくんが、立ち上がる。


「そんなことすれば。古都ちゃんが悲しむ」

「合格だな。古都の幼なじみ、続けさせてやるよ」

「君に許可されなくても。続けるさ」


 そういって、マサオミくんはブースから出て行った。
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