桝田くんは痛みを知らない
 カーテンで仕切られた占いブースに、ヨシヒサくんと2人きりになる。


「あ……えっと。長時間お疲れさま!」

「ほんとにな。給料でねーかな。俺、日給10万くらいの働きしたと思わねえ?」

「そんな高いお仕事、なかなかないよ」

「アイドル扱いされてたんだ。その倍くらいとってもいーだろ」

「アイドル扱い?」

「写真とれだとか。サインくれだとか。サインなんか、ねーっつの」

「……写真、撮ったんだ」

「は?」


 あ、今の。

 完全に、くだらないヤキモチ。


 ヨシヒサくんは疲れてるのに。

 お客さんにサービスしただけなのに。
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