桝田くんは痛みを知らない
 ――――気になった。


「あの日。桝田くんが保健室にいた、理由。サボりだったのか。それとも、体調わるくて休んでたのか。聞いてみたかった」


 結局、理由は、わからなかった。

 聞いてもはぐらかされたから。


 たぶん、拒絶された。


 説明するのが面倒だったのか、わたしには言いたくないのか、それとも誰であっても話そうとしないのかは判断がつかない。


 わかったのは、桝田くんが体育に“出られない”という事実。


 桝田くんのクラスメイトが運動しているとき、桝田くんは、見学かプリント学習をする。


 それを避けて保健室に眠りに来ていた。
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