芦名くんの隠しごと
ゴクリと唾を呑み込む。
愉しそうに、だけれど決して隙のない、目の前の男の声。
「貴女を傷付けたら、芦名康生は絶望するでょうか」
そう言いながら頬に触れてくる手を払い除けたいのに、縛られているためそれができない。
「その白い柔肌に傷を付けたら、血の紅がとても映えそうですね」
今まででいちばんの、悪意のない───悪意。
まったく逆のものが、同時に存在するその男は、恐ろしいことに、美しい顔だった。
「………話では大人しい女性だと聞いていたのですが。その反抗的な眼差しも、悪くないです。やっぱり、ぜんぶ片付いたら、私が可愛がってあげましょう」
「………っ、冗談言わないでください。芦名くんを───」
「………口、塞がれたいですか?芦名芦名と煩いです」