芦名くんの隠しごと



「……おっ、まだちゃんといるね、水上野乃さん。でも、だいぶ落ち着いてきたみたいだ。伊織と話してたんですか?」


「……ハラ減ってたみたいだったから、飴やった」


「そっか。もうこんな時間ですもんね」


私のことなんてお構い無しに、次々と会話を進めていく花瀬くん。


「まあ、そろそろ誰か来る頃だと思います。芦名じゃなかったらハズレなので、私たちは退散しますね。水上野乃さん、もう少し待っててくださいね」


どうやら彼は本当に、芦名くん以外は眼中にないらしい。


でも、芦名くんはきっと来ない。


最近ずっと、忙しそうだから。


『最近あんまり来ないけど、忙しいの?なにしてるの?』


そんなことをつい聞いてしまったけど、芦名くんははぐらかすばかり。


夏樹くんや楓さんに聞いても、“知らない”の一点ばり。


私に隠しているのか、それとも、二人にも知らされていないのか。


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