芦名くんの隠しごと



*



「───お願いします、白楼を消さないでください」


「………どうしたんだ、康生」


「この場所を、おれはまだ、()くしたくないんです」


伊織から、月森のことを頼まれて一週間。


おれは、白楼の現総長に、頼みに行った。


「この前は賛成してたよな?なにかあったのか?」


「…………、」


たしかにそうだ。


この前、おれだけ総長や幹部の人たちと、話をした。


白楼の“これから”について。


白楼は代々、この地域は他の族から守ってきたりもしていた。


───けれど。


ここ最近は、一般人が巻き込まれることは少なくなった。


それに、白楼は元々人数が少ないこともあり、総長が、“皆が明るい場所で生きていけるように”と、今の総長の代で終わらせると言っていたのだ。


『白楼は、俺たちの代で終わりにする』
この総長の言葉を聞いたのは、俺と、今の幹部の人たちだけ。


だから、今ならまだ、取り消せると思った。


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