芦名くんの隠しごと
「……それと、白楼に入れたい奴もいるんだ」
そう言った瞬間、わかりにくかったけど、確かに空気が一転した。
特に楓は、怖いくらいに警戒している。
「………誰、」
「花瀬伊織って奴の、………なんだろ、大事な奴、かな」
「花瀬伊織って、情報屋の花瀬か?」
「そう。仲は悪くないんだ」
伊織は情報屋だ────表向きは。
いや、実際ちゃんと“情報屋”を全うしているのだけれど、“闘える”人間なのはもちろん、とにかく知り合いが多い。
そしてその中でも、おれ専属の、情報屋である。それに、あまり知られていないけど、白楼のメンバーでもある。
「俺は、康生が信用してる人間なら何も言わねえよ。なんてったって次の総長様だからな」