芦名くんの隠しごと



そう言えば、なぜかギュッと頬を掴まれた。



「……終わったら野乃が嫌って言うくらい甘やかすからね」


「……っ、」



不意討ちの至近距離。

心臓がさらに脈打つ。

今だけなにかの病気にかかってるみたいだ。



「…そうだ野乃。着替えるんだったよね?」


「あ、う、うん」


「じゃあできるだけ早く着替えておいで。…って、引き留めちゃったの俺だから、そんなに急かすつもりもないけど」



うん、と頷くと、「いいこだね」とでも言うように彼は微笑んだ。



「そうだ野乃」


「はいっ!」




「───続きはまた今度ね」


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