芦名くんの隠しごと



──生徒会長である楓さんが、こんなところにいる理由。


「まあそんなわけだから、少なくとも肝は座ったよね。小さい頃から刺青(ほりもの)ある厳ついオジサンたち見てたんだから」


刺青がある、厳ついオジサン。


……それはきっと、“そういう人”。


「あの…楓さん、には」


「ないよ。俺は外でも堂々としてたいし」


たしかに言われてみれば、プールの授業で周りに見られたりしたら、言い逃れできないだろう。


「ま、外で堂々とできたとしても、入れる気ないけど」


「そうなんですね…」


楓さんの話に、相槌を打っていたら、ドアが開いた音がして。


「…お、夏樹」


入ってきたのは夏樹くんだった。さっき学校で別れたぶり。


「水上、無事に着いたんだな」


「当たり前だろ。今、楓と顔合わせたところ」


芦名くんからそう聞いた夏樹くんは、ものすごい勢いで楓さんの方を向いてから。


「……大丈夫だったか?」


心配そうに、私に尋ねてきた。


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