芦名くんの隠しごと

「どーも、野乃ちゃんの友達してます。若槻楓です」


……楓さんが何を考えているのか、やっぱり思考力は読めない。


けれど、彼氏とかそういうことは、否定してくれてよかった。


「ま、僕よりウチの妹の方が仲良くしてるんですけどね」


「妹さんがいるの？兄妹で野乃と仲良くしてくれてるなんて嬉しいわ。ありがとう」


お母さん、騙されないで。


その笑顔の下に何が隠されてるのか、わかったものじゃないから。私は学んだの。


綺麗な顔だからって、騙されたらダメ。


「いいえ。野乃ちゃんには、こんな僕たちでもすごくよくしてもらって……」


「“こんな僕たち”って。むしろ大歓迎よ」


美しい顔を前にして、上機嫌のお母さん。


「それは、僕たちがどんな人間なのかわかった上での言葉ですか」


「え？」


「僕たちは───」


「か、楓さん！」