芦名くんの隠しごと
──ドクンと胸が鳴った。
楓さんの、今までとは桁違いなほどの冷たい瞳。
すべての憎しみを込めたような、怒りを込めたような、……悲しさを込めたような目。
「……野乃、」
「……お母さん、少し外で楓さんと話してくるね」
きっと、楓さんや藍ちゃんのデリケートな部分なんだろう。私はそれでも聞きたいと思った。知りたいと思った。
だけど、関係ないお母さんの前でする話ではないため、私は楓さんを連れて近くの公園まで来た。
お互い、終始無言だった。
「……あの、楓さん」
「どーしたの、野乃ちゃん。こんなとこまで連れてきて」
「知りたくて。藍ちゃんのことも……楓さんのことも」