海賊と宝石の歌姫
男に逆らう。それは、自分の命がなくなるかもしれないことだ。少女はそのまま屋敷を飛び出す。

暗闇の中、少女は走り続けた。何度も転び、何度も涙を流す。

それでも少女は走り続けた。そして、疲れ果ててその場に倒れる。

「……海の匂い……」

少女はそう呟き、意識を手放した。



海賊アレスは順調に船を進め、スペスの港街で食料などを調達することにした。

「よし!新しい剣を買うわよ〜!!」

ライリーがそう言いながら船を降りる。セダは苦笑しながら、「お前、毎回そう言って剣を新しくしてるよな……」と言った。

「セダ〜!夜になったら酒おごれよ〜」

ゴドフリーがニヤニヤ笑いながらセダの肩に手を置く。セダは悔しげに「ああ」と頷いた。あの戦いの後、勝負をしてセダが負けたのだ。

「俺はハナダに関する本を買ってくる」

アイザックが言い、セダは「ああ、頼む」と言った。船員たちは次々と船から降りていく。

セダも船を降り、息を大きく吸い込む。そして久々に地面を歩いた。
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