愛染堂市
―――――京子



 至る所で銃弾の音や、人々の叫び声が聞こえる。

子供達は体を小刻みに震わせながら、アタシに必死にしがみつく。

このまま、この場所に居ても安全とは限らないと知っていながら、今はやり過ごす事しか出来ない自分にもどかしさで苛立つ。

おそらくは、今革命軍と銃撃戦を繰り返しているのは、復権派のゲリラ。

革命軍と大差の無い過激な連中だし、話が通じるとも思えない。

外国人居留地区と近くて、比較的安全と踏んでいた自分をなじるしかない。

教会への帰路を見い出しようにも、バスもこの状況じゃおそらく出ないだろうし、何よりもこの街の外に出るのも絶望的。

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