愛染堂市
『はじまった?・・何が?!』
「さっき通りを革命軍じゃない連中がトラックでホテルの方へ向かって行ったの・・・」
『くそっ!!ますますテメエに構ってる場合じゃねえ!!』
「コッチだってアンタのせいで子供達を危険にさらしちゃうじゃない?!」
『ハァ?!意味分かんねーし!!』
俺は女の掴む手を振り解いて、仲間のトラックの元へ向かう。
俺の走り去る背中に、女が相変わらず日本語で怒号を浴びせていたが、俺は女の方に中指を立てて振り向く事無く通りへ向かう。
通りに出た瞬間、操作を失ったバンがコチラに突っ込んで来た。
俺は後方に飛んで、転げながらバンを避ける。
バンはそのまま食料品店の土壁に突っ込んでいった。
通りは既に砂塵が舞い上がり、至る所から銃撃の音が聞こえていた。
女の方を見ると、女は子供達を抱えてキョロキョロと辺りを見回しながら必死に子供達に何かを言っていた。
―――悪いが構ってられねえ、あばよマザーテレサ!!
俺は体を起こし、銃弾の飛び交う通りを横切り仲間のトラックを目指す。