愛染堂市
「ペンキ屋ぁ・・サッサと行ってこいよ!!コッチだって忙しいんだ」
「クソッ!!このクソジジイっ!!」
そう叫びながらペンキ屋は事務室の仕切戸を開けようとした。
同じタイミングで作業着の男が事務室に入って来てペンキ屋は内開きの仕切戸に頭をぶつけた。
「あっごめん・・・社長何でしょう?」
「あぁ外にラムが停まってるだろうからスクラップに回せ。あとタホにナンバー付けて乗れる様にしとけ」
「あい」
作業着の男は、軽く車屋のジイサンに頭を下げて、そそくさと事務室を出て行った。
ペンキ屋はその作業着の男に「次やったらぶっ殺すぞ!!」と怒鳴りつけたが、作業着の男は気にせず作業場の方に戻っていった。
車屋のジイサンは古臭い事務机の引出しから、可愛らしい犬のキーホルダーの付いた鍵を取り出しペンキ屋に投げ付けた。
「ほれっサッサと行って来い」
ペンキ屋は戸を叩き付けながら出ていった。