緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー

「絶対やだ」

「そこまで拒否されるとムカつくんだけど」

支えられた背中の指がかすかに動き出す。

ちょっと、何する気?
ここ、電車の中ですけど!

つーっと、指で背中をなぞられる。
くすぐったくて体をよじるけど、動ける範囲はわずか。
背骨をゆっくりと下になぞられ、その手が腰に回る。

何考えてんのよ!
講義を込めて顔をあげると、なんてことない表情をしてるではないか!

「そろそろ着くね。降りる準備しないと」

そういうと、やっと手が離れた。

ようやく胸を撫で下ろす。
危険すぎるよ、この男。
絶対に近づけちゃいけない。
公共の場で警察官がすることじゃないでしょ。

あー、言ってやりたいことが山のようにある。
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