何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】

しかしそれから20分後…

「ちょっと、広すぎでしょ。」

天音は、さっそく迷っていた。
どうやら天音は難しい字だけでなく、地図も読めないらしい。

「もー、どこよ!!この城、うちの村と同じくらいあるんじゃないの!!」

そう叫んでみたものの、なぜか、さっきまではたくさんいた、この城の中を守っているであろう兵士達の姿は全く見当たらず、シンと張り詰めた空気が、この城の中を支配しているようだった。 明らかに妃候補の宿舎がある方向とは、思えない。

「あ、池がある!」

すると天音は、この城には似つかわしくない池を見つけ、思わず駆け寄った。
そこは、この城にある中庭のような場所だった。池の周りは芝で覆われていて、綺麗な花も植えられていた。
城の中にも、村を思い出すような自然の風景を見つけ、天音はちょっとホッとした気持ちになれたのだった。

「でっかい池だなー。魚釣れちゃうんじゃないの?何かいるのかな?」

確かに、建物の中にある庭にしては、あまりに大きな池だった。やはりこれも、天音の規定外の大きさ。
すると、自由奔放な天音は、迷子になっている事も忘れ、魚を探そうとその池を覗き込み、身をのり出した。

ピチャッ

「きゃ、冷た!」

池の中から、魚のような物が飛び跳ねて、天音の顔に池の水が豪快にかかった。

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