私の中におっさん(魔王)がいる。~黒田の章~

 * * *

 大通りの人波に飲まれながら、脇道に逸れてみる。
 大通りしか歩いたことはなかったから、ちょっとした冒険だ。
 わくわくしながら、歩いていった。

 脇道は、細長く、薄っすらと暗い。そこを抜けた先に、おしゃれなお店があった。アンティーク調のレンガのお店で、窓の縁が翠色だった。

 まるで、絵本に出てくるようなお店に、テンションが上がる。
 店が営業時間外のため、何屋さんなのかはわからないけど、一目で気に入ってしまった。
 ウロガンドを見ると、図書館が開くまであと十分。先に図書館に行って、帰りにこのお店に寄ってみよう。

 後の楽しみができて、私はるんるん気分で、図書館に戻った。
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