私の中におっさん(魔王)がいる。~黒田の章~

 * * *

 私はクロちゃんの天幕の中で経緯を洗いざらい話した。
 クロちゃんは黙って私の話を聞き、暫く沈黙した。
 そして、大きく息を吐いて、私の手を取った。

「ちょっと着いてきて」

 そう言って私の手を引く。

「翼、ちょっと外す。後の事頼んだ」
「はい。了解っす」

 振り返りざまに翼さんにそう告げて、クロちゃんと私は天幕を出た。天幕のすぐ側にシンディがいて、クロちゃんはシンディに飛び乗ると、私の手を引いてクロちゃんのすぐ後ろに座らせた。

「ちょっと飛ぶから、しっかり捕まってて」

 私は言われたとおりにクロちゃんに捕まる。
 お腹に手を回して、背中にくっついた。
 罪悪感でしょんぼりしてたのに、安心したような、ときめくような、そんな気持ちに包まれた。
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