御坂くん、溺愛しないで。






けれどそういう時に限って不運は重なるもので。


「えー、この問題を解説してから終わりましょう」

もうすでに四限目の授業を終えるチャイムは鳴ったというのに、数学の先生はまだ問題の解説をしようとしている。


クラスのみんな、『まだやるのか』という空気になっているけれど、それを無視して解説を始める先生。



なんで、早く終わってくれないと御坂くんが来てしまう。

もうすでに机の上にはボーダー柄のランチバックと水筒を準備しているというのに、先生の授業は終わらない。


結局五分もオーバーして授業が終わり、私は琴葉に捕まる前に教室を後にしたけれど───


「木原先輩」
「……っ」

ドアを出てすぐ、御坂くんが立っていたものだから思わず立ち止まった。

< 229 / 345 >

この作品をシェア

pagetop