御坂くん、溺愛しないで。
そんな彼の姿ばかり追っていると休憩時間になったようで、コートの半面に置かれてあるベンチへと集まっていた。
他校のチームは反対側に集まっており、試合が始まりそうな雰囲気へと変わる。
「やっぱり理玖は上手いねぇ。
あっ、そろそろ始まりそうじゃない?」
「う、うん…」
最初は三年生が主となるチームで試合をするらしく、試合に出る人はビブスを着ており、御坂くんは出る様子ではなかったけれど。
終始真剣な表情である彼から目が逸らせなくなる。
「ほら、さすが理玖」
「えっ…」
「三年の試合なのにベンチ入りっぽいね、あれ」
「べ、ベンチ入り…!?」
驚きのあまり、思わず大きな声を上げてしまう。
三年生の試合でベンチ入りってすごいんじゃ…だって彼はまだ一年生である。
「ほら、一年や二年の何人かは審判に行ってるけど、理玖はベンチ付近で待機させられてるでしょ?
理玖の隣にいる子も確か一年で上手いって秀太が言ってたからベンチ入りかな」
琴葉の丁寧な説明に、何度も頷く私。