御坂くん、溺愛しないで。



その間もずっと御坂くんを見つめていたら、突然彼が顔を上げてギャラリーに視線を向けてきた。

もちろんバチッと目が合ってしまうわけで、途端に恥ずかしくなる。


「……っ」

目を逸らしたくなったけれど我慢して御坂くんを見つめ返すと、彼は一瞬目を見張っていた。

かと思えば目を細め、優しく微笑んでくれて。


ただそれだけなのに、こんなにも嬉しい。
思わず頬が緩んでしまう。


すると御坂くんの隣にいた男の人が何やら彼に絡み出してしまい。

御坂くんと見つめ合う時間はそれで終わってしまった。


「あちゃー、あれ絶対同期にからかわれてるね」


どうやら琴葉が御坂くんと同じ一年だと言っていた男の人にからかわれているようで、焦っている様子の彼。

一体何を言われてあんなに焦っているのだろう。


余裕がなくなっているような表情の御坂くんは新鮮で、思わず笑みがこぼれてしまった。

< 261 / 345 >

この作品をシェア

pagetop