御坂くん、溺愛しないで。



「すみません、無意識でした」

けれど私の言葉を聞いた御坂くんは、すぐ歩くスピードを遅くしてくれた。


そのおかげでようやく御坂くんの隣に並ぶことができたけれど。



「…………」
「…………」

ふたりの間に流れるのは気まずい沈黙。


チラッと御坂くんの横顔を見つめれば、彼は無表情で前を向いている。


なんだか不安になった私は、御坂くんの肩をつんつん突っついてみるけれど反応はなし。

それがまた悲しい。


やっぱり御坂くんはいつもと違うため、怒っているのだと。


それからまた御坂くんの歩くスピードが速くなってしまう。

これはわざとかもしれないと思ってしまうほど。


このままでは駅に着いてからもずっと気まずい雰囲気のままだ。

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