御坂くん、溺愛しないで。



「ああ、また始めた」

一方御坂くんはまったく表情を変えず、冷静に言葉を返している。



「まじかよ!理玖、意外と図太いんだなぁ。
あのままバスケを辞めればよかったのに」


今度は意地の悪い笑みを浮かべて。
御坂くんを見下すような言い方。

男の人が怖いとかいう前に、そんな真司くんの態度に腹を立てた私は───



「御坂くんをバカにしないで!」

気づけば彼に向かって言い返していた。
ほぼ無意識のうち。


「は?」

「あなたに何がわかるの、御坂くんがどんな気持ちでバスケと向き合ったかわかってるの!?」

「知らないなぁ、君は理玖の彼女だから庇うだけだろ?」

「違う!御坂くんはずっと苦しんでた!
だって御坂くんは…」

「木原先輩」


ジワリと目に涙が浮かび、感情的になって言い返していると、御坂くんが私の名前を呼んだ。

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