御坂くん、溺愛しないで。



「理玖なら余裕だろ、絶対。まあスタメンになれたところで、俺たちの高校と当たる前に負ける可能性もあるけどな」


またバカにしたような言い方にイラッとしたけれど、御坂くんは特に反応を示さない。


「……懐かしいな、真司と敵同士で戦うの」

ひと言、そう呟いた御坂くんはまた私の手を引いて歩き出した。


けれどなんとなく御坂くんの言葉に引っかかった私は、ふと後ろを振り返る。

すると真司くんは先ほどよりも手を強く握っているように感じて。


肩も少し震わせているように思えた。


結局それ以上ふたりは話すことがないまま、私と御坂くんは足を進める。


「先輩」

そして真司くんの姿が完全に見えなくなった時、御坂くんが私を呼んだ。

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