恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
マンションへ帰るのかと思っていると、15分ほど走っておしゃれなビルに着いた。
「ここは?」
「買い物して帰ろう」
とビルの中へ。

そこは、普段足を踏み入れたこともないブランドのショップだった。

「いらっしゃいませ、皆川様」
「こんばんわ。今日はこの人に、夏物を見繕ってください」
「はい、かしこまりました」

「いや、ま、待ってください」
こんな高級な店では買い物なんてできない。

そんな私の思いなど関係なしで、次々と並べられる服達。
さあどうぞとフィッティングに通され、着せ替え人形のように袖を通していく。

「気に入らない物があれば言え」
え、違うよね。気に入った物があれば言えの間違いだよね。
そんなこと思っている私に、

「うん、これかわいいね」
ボスのとんでもない台詞が聞こえてくる。

今、かわいいって?私のこと?
唖然としていると、
「馬鹿、服がかわいいと言ったんだ」
「はあ」


あー。あー。あー。
結局この人は並べられた服をみんな買ってしまいました。

スーツ、スカート、パンツ、ブラウス、カットソー、靴も3足。
これって、絶対私のボーナスでは払えない。
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