独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
 …

 八人が座れるカウンター席と、奥の小さなボックス席。店内の装飾には見覚えがあるし、座った場所も覚えていたけれど、峰島先生と何を話したのかはさっぱり思い出せなかった。

 今日何度目かわからないため息が口からこぼれていく。

「大丈夫ですか?」

 二杯目のカクテルをカウンターに滑らせながら声をかけてきたのは、黒髪のショートカットでネクタイと黒のベストを着用した女性バーテンダーだ。

「お加減でも悪いですか? 今お水ご用意します」

 私がうなだれていたせいで心配してくれたらしい彼女に、慌てて両手を振る。

「いえ、大丈夫です。すみません」

 とはいえ、空っぽの胃にいきなりアルコールはよくなかったかもしれない。一杯目を空にしておいて気づくのも遅すぎだけど……。

 私どれだけ余裕がないんだろう、と自嘲しながら、バーテンダーの彼女に声を掛けた。

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