独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
胸を占拠するこの苦しみの理由を、はっきりさせたい。
大通りを渡り、徐々に薄暗くなっていく空から逃げるように歩を進めて、私は見覚えのある雑居ビルの階段を上がった。
失った記憶を取り戻すために、記憶をなくした場所に戻る。
我ながら名案だと思った。だってドラマとか映画とかだと、記憶喪失の主人公はたいてい過去を取り戻すために自分の軌跡をたどるから。
けれど、現実はそう甘くはなかった。