独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
「いやしかし、驚いたよ。いつも冷静でテキパキしてる冨永さんにも、こんな一面があったとは」
無邪気な笑みを見せる彼を、彼女の方が「千暁さん」とたしなめる。
「いや、いいと思うよ。そりゃいつもキビキビしてたら疲れるよな。それに意外な一面があったほうが人間、魅力的だし」
香坂先生はニコニコと笑顔だけれど、なんだか必死にフォローされているような気がして、恥ずかしくてたまらなかった。穴があったら入りたい。
「千暁さん、ほら、もう行きましょう。お邪魔してすみません」
彼女の方が気を利かせてくれて、ふたりは奥の席へと向かっていった。
「優梨子さん、大丈夫ですか?」
スツールに座り直すと、サトカちゃんが心配そうに言う。そんな彼女も客席が埋まってきておしぼりを用意したりドリンクを用意したりと、慌ただしく動き始めている。
「うん、平気。お会計お願いします」