独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
いたずらっぽく言う香坂先生をぎろりと睨んで、有村さんは「お付き合いさせていただいてます」と丁寧に説明してくれた。
見た目の派手さとは違って、中身はとてもしっかりしている人なんだろうなと思った。香坂先生が選ぶんだから、きっとすごく素敵な女性なのだろう。
少し気遅れしながら、私はスツールから下りる。
「冨永です。香坂先生にはいつもお世話になっております」
「いやいや、俺の方が世話になってるよ。冨永さんはすごい仕事ができる人なんだよ」
彼女に向かってそう説明されて、体が縮こまる。全身に回っていたアルコール成分が一気に蒸発したみたいだった。
香坂先生がせっかく私のことをよく言ってくれたのに、こんなところでひとりで大酒を飲んでいるところを目撃されるなんて……。消えてしまいたい。