独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
本当は優しいのにつんとすました顔をして、誰にも本心を明かさない。
……不器用な、人。
エレベーターを降り、エントランスを抜けて駅に続く坂道を上っているうちに視界が滲んでいった。はらはらと涙が落ちていくのに任せて、私は通りを進む。
頭も顔もよくて仕事ができて手先も器用なのに、峰島先生は性格が不器用なのだ。久世さんへの気持ちを私に話さず、もうあきらめたとか、私の方が好きだとか、適当な嘘をついてごまかせば、この関係を継続できたのに。
それをしなかった彼は不器用で、罪深いくらい誠実だ。
ぽたぽたと地面にあとをつけていく涙をさすがに拭わなければと思った。このままでは電車に乗れない。
バッグからハンカチを取り出そうと坂の途中で足を止めたとき、ふいに声をかけられた。
「あれ、おねーさんどうしたの。そんな泣いて」