独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

「破産の案件なんだけど、ここって『申立人』でいいんだっけ?」

 用紙を私に見せてふっくらした厚みのある唇を拗ねたように突き出す。彼女は全身からフェロモンを垂れ流しているタイプの女性だけど、堂々と『弁護士と結婚したい』と公言しているだけ潔い。

「そこはこちら側を指すので、『申立代理人』になりますね」

「あ、そっか。さっすが冨永ちゃん」

 うんうんうなずいている彼女に微笑み返しながら席に着き、パソコンを立ち上げる。

 四年前、神谷先生が三十二歳のときに設立した事務所には私を含めて六人の創立メンバーがいた。今は十六人まで増員されたけれど、最近は猫の手を借りたいくらい忙しい。

 所長がテレビ出演をするようになって、問い合わせの連絡が殺到しているのだ。

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