独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

 電話応対やメールの返信ばかりで通常業務ができないと事務員の女の子が嘆いていたことを思い出していると、フロアのドアが開いた。

「あ、香坂先生と峰島先生! おはようございまーす」

 長澤さんの明るい声にどきりとする。目を上げると、背の高い男性がふたり通路を歩いてくるところだった。

「おはよう」と穏やかに微笑んでくれる香坂先生の後ろで、峰島先生はいつも通りつんとした顔をしている。三十歳の落ち着いた空気を持つ香坂先生とは対照的に、彼は長澤さんの挨拶に面倒そうに眉を動かしただけで、こちらを見ようとしなかった。

 普段通りだ。

 彼の『なつかない猫』っぷりにほっとしたような寂しいような気持ちになりながら、所長室に向かっていく背中をさりげなく見送った。

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