独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

 神谷所長の意向で、私たちの事務所は企業法務のほかに、本当に困っている人の依頼は引き受けることにしている。

 この『本当に困っている人』なのかどうかを判断するのも、私たちパラリーガルの仕事のひとつだ。

 依頼人のなかには、隣の犬がうるさいから損害賠償請求をしたいとか、道路の穴に足を取られて転んだから市を訴えたいとか、身近な不満に憤ってこの事務所に駆け込んでくる人がいる。そういう人たちはこちらが話を聞いているうちに冷静になっていき、多大な労力と費用をかけてまで裁判を起こす必要はないと思いとどまる場合が多い。

 最初に窓口になる私たちがそういった相談の中から本当に困っている人、本気で裁判を起こしたいと思っている人、忙しい先生方に取り次いでも大丈夫だと思える依頼を見極めるのだ。

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